エアビーアンドビーやウーバーの出現で、ビジネスとして大きな注目を集めるシェアリングエコノミーサービス。
前回の記事「大手企業も続々参入!シェアリングエコノミーサービス市場の可能性」においては、シェアリングエコノミーの意味、メリットや可能性、事例やデメリットなどについて紹介しました。
今回はその中でも、駐車場シェアリングサービスに関して書きたいと思います。
日本の場合、タクシーやホテル業界からの既得権益や法的規制などのせいで、ライドシェアや民泊等のシェアリングエコノミーサービスがなかなか浸透しきれずにいます。
しかし、駐車場のシェアリングに関しては、規制や既得権などのしがらみが少なく、大手不動産企業や大手IT企業も参入をし、今後の市場拡大が注目されてきています。
もくじ
駐車場シェアリングサービスがなぜ注目をされているのか?
大手デベロッパーやリクルート、楽天の参入が意味するもの
リクルート、駐車場シェア参入 不動産サイトと連携
リクルートホールディングス(HD)傘下のリクルート住まいカンパニーは4月にも企業や不動産管理会社の空き駐車場を時間単位で貸し出すシェアリングサービスを始める。不動産情報サイトと連携し、駐車場オーナーの登録を促す。シェアリングサービスの中でも駐車場は参入障壁が低く、三井不動産や楽天など参入が相次いでいる。
日本経済新聞WEB刊2017年3月23日掲載記事より引用
三井不動産のような大手デベロッパー、楽天やリクルートなどの大手IT企業が駐車場シェアリングサービスに参入をしてきています。
もともと、三井不動産の「リパーク」やパーク24の「タイムズ」などは、駐車場ビジネス(コインパーキング等)に昔から携わってきていますが、「リクルート」や「楽天」のような企業が参入してきたことが、これからの白地(シェアを取れる余地)や成長が大きく見込めることを意味しています。
これまでの土地有効活用目的の駐車場ビジネスではない
これまでの駐車場ビジネスは、もともと土地の有効活用サービスです。
土地所有者に対して、「リパーク」や「タイムズ」のブランドで駐車場ビジネスの仕組みを提供しています。
そのため、皆さんもご存知の通り、至る所でリパークやタイムズのコインパーキングを目にするようになり、その数はリパークだけでも1万以上あるそうです。
ただ、この場合、その土地は完全に駐車場を貸し出すことだけに使われます。
そして、日本には、貸し出し目的ではなく、実際に個人で使用している駐車場が山のようにあり、それが使用されていない時間に貸し出すことができれば、車を駐車したい人に対して、より多くの選択肢を提供できます。
それにより、車を駐車したい人は、より多くの駐車場を、安価に借りることができ、駐車の利便性が上がります。
このモデルは、空いている土地を駐車場に作り変える必要はなく、その仲介を担えるプラットフォームがあれば、リパークやタイムズといった駐車場ビジネスをやっている企業以外でも出来ることを意味します。
そのため、リクルートや楽天のような日本最大のマッチングビジネスプラットフォーマーが、成長性や参入余地のしやすさに目をつけ、参入をしてきています。
特に、リクルートは、日本最大の不動産マッチングサイトのSUUMOを運営しており、そのリソースを使って、不動産業者への営業や顧客集客を出来る点は大きなメリットになるのではないでしょうか。
少ない規制や既得権益が市場の成長を後押し
記事冒頭や前回記事にも記載しましたが、民泊(エアビーアンドビー等)やライドシェア(ウーバー等)などに比べて、規制(個人が貸し出す場合のライセンスなど)や既得権益(民泊の場合はホテル業界、ライドシェアの場合はタクシー業界)が少ないことが、駐車場シェアリングサービスが注目されている理由です。
民泊のように宿泊者の安全面や利用者が他人の家を使う心理的抵抗感(やっぱホテルが安全)などと比較しても、駐車場は安全面や心理的抵抗感もそこまで問題にならなさそうに思います。
駐車場シェアリングサービスの仕組み
例えば、自家用車で仕事をしているAさんがいます。
そのAさんは平日の10時~18時までは仕事の外出で車を使うため、自分の家の駐車場はその時間は空いています。
そこでAさんは、駐車場シェアリングサービスに登録をして、平日の10時~18時までは貸し出しOKにして、自分が駐車場を使わない時間は他の人に貸し出すことにしました。
そこに、近くの親戚の家に車でいくBさん。
いつもこの親戚の家にいく時は、周囲に駐車場がなく、徒歩10以上の距離の停めるにもかかわらず、さらに値段も都市部のため高い状況です。
そこで、Bさんは以前ネットで駐車場シェアリングサービスの存在を知り、アプリを使って親戚の家の周囲の駐車場を探したところ、Aさん家の駐車場をお手頃の値段で発見、そのまま予約を行い、当日も問題なく駐車ができました。
めでたし、めでたし。
これが駐車場シェアリングサービスの仕組みとなります。
要は、駐車場を所有している人が使っていない時間(遊休資産となっている時間)に、駐車場を使いたい人へ貸し出すこと、要はシェアリングすることが駐車場シェアリングサービスの仕組みとなります。
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駐車場シェアリングサービスの代表的企業例
駐車場シェアリングサービス企業として、わかりやすく「自社スペースマッチング型」と「シェアリングスペースマッチング型」の2つに分けて説明したいと思います。
自社スペースマッチング型
自社スペースマッチング型は、もともと駐車場ビジネスをやっていた企業が、主にアプリやWEBなどを通して、より手軽に駐車場を探し、事前予約も可能にしたサービスです。
三井のリパーク「Toppi」
タイムズ
シェアリングスペースマッチング型
シェアリングスペースマッチング型は、自社で駐車場ビジネスをやっておらず、自社で提供できるスペースはないものの、貸し出しをする個人と借りる個人をマッチングさせるプラットフォーム(アプリやWEBなど)を作り、より手軽に、安価に、事前予約も可能にしたサービスです。
Akippa - 駐車場シェアリングのNo.1
まとめ
これから注目の駐車場シェアリングサービス。
勝つのはどこでしょうか。
自社スペースマッチング型とシェアリングスペース型。
普通に戦えば自社スペースマッチング型がすでに自社で提供できる多くの駐車場を持っているため、有利に見えそうですが、リクルートや楽天というプラットフォーマーであれば、面白い仕組みで戦ってきそうな気がして楽しみです。
今回は以上となります。
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