民泊のエアビーアンドビーやライドシェアのウーバー等の出現で、ビジネスとして大きな注目を集めるシェアリングエコノミーサービス。
日本の場合、タクシーやホテルなどの業界からの既得権や規制などのせいで、なかなかシェアリングエコノミーサービスが浸透しない中、最近では規制や既得権益などの足かせが少ない駐車場シェアリングが注目をされてきています。
今後、シェアリングサービスのビジネスモデルや仕組みを理解することは、就職・転職や起業を考える際の大きな選択肢となるビジネスになるため、ここではシェアリングサービスとは何か、なぜ可能性を秘めているのかを書き、次回記事では、その中でも注目をされている駐車場シェアリングサービスについて、書いていきたいと思います。
もくじ
シェアリングエコノミーって、わかりやすく言うと?
シェアリングエコノミーとは、簡単に言うと、自分達が持っている「個人資産」を、使ってない時間に他の個人へ貸し出したりすることで、その資産を有効活用することです。
最近では、賃借以外にも、使い終わった資産を手軽に個人売買することも(フリマなど)、このシェアリングエコノミーの定義内に入ってきています。
そして、シェアリングエコノミーでは、この「個人資産」と言うのがポイントになります。
これまでは、サービスやモノを使う場合、それが自分のものではない限りは、基本的にそれらのサービスやモノを提供する業者を使い、サービスやモノを買ったり、借りたりしてきました。
しかし、このシェアリングエコノミーは、個人が持っている資産で、なおかつその資産が使われてない時間(遊休資産になっている時)に、その資産(サービスやモノとして利用できるもの)を貸し借りしたり、売買することを言います。
例えば、自分で所有している家の中に、1ヶ月に半分しか使っていない部屋があるとします。
その部屋を使っていない時に貸し出し、その分の対価を得ることができれば、遊休資産になってしまっていたその部屋が、価値をさらに発揮することができます。
そして、借り手側からしても、もともと遊休資産となっている部屋を借りるため、通常の宿泊業者にはない価格や価値を享受することができます。
シェアリングエコノミーの市場規模、大きな可能性
「所有」から「共有へ」
これまで個人で使うために所有していた資産(例えば、車や家など)を、使わない時間に気軽に貸し出しができ、それで収入を得ることができるようになることは、これまでの個人資産の持ち方を大きく変える可能性があります。
それこそ、資産に対して、「所有する」と言う考えから、「共有する」と言う考えへの変化が起こることであり、それが文字通りシェアリングエコノミー(共有する経済・社会)となります。
これまでも、何らかのレンタルサービス業は存在してましたし、それこそ不動産賃貸などは、そもそもシェアリングエコノミーの仕組みに似ていますが、この貸し出す元となる資産が「個人」、そして遊休資産になることで、対象となるモノの量や種類が劇的に大きくなります。
消費者の生活が劇的に変化
供給元となれるモノの量や種類が増えると言うことは、どういうことを意味するでしょうか。
供給量が大きく増えると言うことは、その分そのモノを借りる価格も下がります。
そして、供給する種類が増えると言うことは、これまで借りる概念がなかった色々なモノが借りれると言うことになります。
これまで高い価格で借りたり、買ったりしてきた色々なモノやサービスを安価で借りたり、買ったりできるようになるため、消費者の生活の利便性を劇的に豊かにする可能性を秘めています。
今世界規模でサービスを広げているウーバーやエアビーアンドビーだけではなく、その辺にある自転車やバイク、家の中の家具や家電、それこそ今使っていないお金や時間、場所など、あげると切りがないくらいの多くの色んなモノがシェアリングできる可能性があります。
そして、使っていない時間だけをシェアするだけではなく、使う人数が足りない時に、使う人を足すということもできるため、そう考えると本当にあらゆるモノやリソースがシェアリングできることになります。
もちろん、これまでもフリマがあったりと、遊休資産が完全に何も賃借や売買されてこなかったわけではありません。
ただし、シェアリングエコノミーとまで呼ばれるようになったのは、その対象の規模がビジネスモデルやテクノロジーによって劇的に増加してきていることが理由となります。
スマホやIoTの後押し
個人資産をシェアリングするということは、個人がオーナーとなり、個人の顧客と賃借、売買を行うため、個人間での取引となります。
そうすると、その取引が、いつでも、どこでも、手軽にできることが必要になってきます。
その分、スマホを使って予約をできるシステムやICT、IoT(Internet of Things)を使った資産(特にモノ)の貸し出し管理ができるシステム、個人取引で起こるトラブルなどを回避するための賃借や売買履歴を残すシステムなど、スマホやIoTを駆使したシステムや仕組みが必要となります。
そのため、そのようなIT技術を持つ会社が現在このシェアリングエコノミー市場に注目し、大手企業もどんどん参入を図ってきていることで、シェアリングエコノミーを支える技術や仕組みが進化し、どんどん市場が発展してくることが予想されています。
凄まじい市場成長性
実際、コンサルティング会社のPwC(プライスウォーターハウスクーバーズ社)の「シェアリングエコノミー」においても、米国内におけるシェアリングエコノミーサービスの主要5業種と従来型レンタル業の主要5業種と比べて以下のように発表しています。
2013年の150億ドルが、2025年には3350億ドルへになります。とてつもない成長性ですね。
これからシェアリングされるモノがどんどん増えていくと考えると、その秘めた可能性は測りしれません。
ちなみに、日本の市場規模に関しては、矢野経済研究所の調査による、2015年は前年比24.2%増の285億円、2020年には600億円に達すると見込まれているそうです。
矢野経済研究所のプレスリリース
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シェアリングエコノミーサービスの代表企業
ここではすでに誰でも知っているようなウーバーやエアビーアンドビー以外で今世界で注目を集めるシェアリングエコノミーサービスの企業をあげたいと思います。
1. Mobike
中国の自転車シェアリングサービス企業です。
2016年に設立されて以来、このMobikeの斬新でおしゃれなオレンジ色の自転車が中国のいたる歩道で目につくようになりました。
中国ITの雄テンセント、シャープの親会社でも有名なフォックスコンなどから、何億ドルも資金調達をしてきています。
ユーザーが30分単位で、いつでも、どこでも、気軽にアプリですぐに予約ができ、自分がいる近くに置かれている自転車を使うことができます。
中国の健康ブームも追い風となり、凄まじい勢いで伸びています。
しかし、あまりにも自転車が街中に溢れ返ってしまい、不法駐車などが社会問題にもなりつつあるそうです。
この辺は自転車シェアリングサービスを拡大していく上での大きな課題となりそうですね。
ちなみに、2017年中に世界100都市への展開を計画しているようです。
日本でもソフトバンクグループが自転車シェアリングサービスを開始するとアナウンスがありました。
日本でどのように普及していくのかが楽しみです。
2.メルカリ
言わずと知れたフリマアプリのリーディングカンパニーであり、日本を代表するユニコーンカンパニー。
2013年に日本でサービスが開始され、すでにアプリダウンロード数が国内4000万件、アメリカで2000万件(2017年3月現在)を突破しています。
すでに収益化もされてきており、近年ではLINEとメルカリが日本発のWEBのメガサービスとして大きな期待をされています。
いつでも、誰でも、簡単に商品を売り買いすることができ、そのユーザビリティの高さや仕組みの素晴らしさで、一気に若年層や主婦層を中心に爆発的な人気を見せ、現在は幅広い層・商品がメルカリ上で流通がされています。
3.Grab(グラブ)
シンガポールを本社におく東南アジアのライドシェアカンパニー大手。
ウーバーのアジアにおける競合となります。
日本のソフトバンクグループも約10億ドルの出資をしています。
東南アジアの1部では、車以外にもバイクの配車も行なっているようです。
インフラが整っておらず、渋滞がひどい国が東南アジアに多々ある中、車だけではなくバイクの需要が多いようです。
アジアにおいてはUberに負けず劣らずの頑張りを見せているようです。
シェアリングエコノミーにデメリットや課題はないのか?
これまでシェアリングエコノミーがいかに大きい可能性を秘めているかを触れてきましたが、もちろんデメリットや課題はあります。
個人への信頼が必要
個人間取引が主となるシェアリングエコノミーにおいて、ユーザー側は、そのサービスを提供する個人に信頼をすることが求められます。
実際、ウーバーやエアビーアンドビーでも、多くのトラブルが発生しており、個人が提供をするサービスやモノへの利用に抵抗感を持つ人も多数います。
しかも、トラブルの責任所在も不明確になりやすいです。
そのため、仲介役となるプラットフォーマーが、信頼できる個人であるか審査や評価をできる仕組みなどが作られていっています。
ウーバーにおいては、乗客が運転手の評価をし、運転手が乗客を評価する仕組みがあり、あまりに評価が低いと、サービスを使えなくする仕組みが導入されています。
法律や規制、既得権益への対応
ウーバーやエアビーアンドビーが日本で普及しない一番の理由がここと言えるかもしれません。
これまでのビジネス慣習で定められた法律や規制が当てはまらず、またその法律や規制を変えようとすると、既得権益者が抵抗をします。
アメリカのような責任の所在含めて個人主義である国でさえ、ウーバーを規制している州も多々あり、日本のような国だと、一層浸透させる難易度は高いように思えます。
むしろ、中国のような政府トップダウンの国の方が、シェアリングエコノミーが進んでいっているのは、政府がトップダウンでその辺を決めれるからではないでしょうか。
その他にも、デジタル環境の整備、所有から共有へのマインドシフト等、細かい課題はまだまだある状況です。
しかし、総務省が平成27年の情報通信白書でもシェアリングエコノミーについて触れており、政府もICT普及における重要なビジネスモデルとして注目をしています。
この辺は世界でどんどんシェアリングエコノミーが浸透し、新たなモデルや市場規模の拡大がさらに起こると、日本も本格的に法律や規制も整ってくると思います。
まとめ
ご紹介した通り、シェアリングエコノミーは大きな可能性を秘めており、多くの大手企業やベンチャ企業がその市場に参入してきています。
まだまだ浸透までの時間や課題の解決は必要ですが、これまでのサービスや資産への考え方自体を変えるビジネスモデルと言えると思います。
次回は、今回記事を書く本来の目的でもある駐車場シェアリングサービスについて書きたいと思います。
民泊や車のライドシェアでは、法律や規制、既得権益者の存在で、なかなか浸透が進まない中、その足かせが比較的に軽い駐車場シェアリング。
ぜひご興味ある方はお読みください。
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